◎シトラス・フラッド
「なぁ、おい」
肩を叩かれて振り向く。
そこには、蜜柑の皮を僕に向けたおじさん。
「わっ」
蜜柑の匂いがして、目が痛くなる。
目を擦りながら、
「何するのさ!」
おじさんはニイッと笑って、
「いやぁ。外国で蜜柑を使った目薬が流行ってたから、案外効くのかと思って」
僕はおじさんをジトッと見て、
「またそんな嘘で、僕を騙そうとしてるんでしょ」
するとおじさんはバツが悪そうに笑いながら、ヒラヒラと手を振って
「ないない。そんなんじゃないよ。本当だって、信じろよ」
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