◎シトラス・フラッド 2

「そんな事言って、本当だった試しが今まである?」
 おじさんは僕をじっと見つめて、
「…なんだ? お前、ちょっとかわいくなくなったんじゃないか?」
「僕だって、いつまでもバカでいるつもりはないんだよ」
 そう言って、プイッとそっぽを向いてみせる。
「ふーん…。となると、お前は今までバカだったんだな?」
「な…っ!」
 おじさんは、ニヤニヤしながら僕を見ている。
「バカじゃないよ! それに、バカって言った方がバカなんだから!」
 おじさんは新しい蜜柑の皮を剥きながら、
「じゃあ、やっぱお前バカじゃん。最初に言ったのお前だし。やーい」
 僕へ向かって舌を出し、ヒラヒラと手を振る。



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